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八戸市の中心街を子供達とマインクラフトで再開発してみたらワクワクする街が出来た!

先日、11月27日の日曜日に八戸初のコワーキングスペースを貸し切りにして、BeFM(八戸のローカルFM局)主催で、小学校2年生から中学3年生までを対象に、デジタルプラットフォームを活用した「街づくり」のイベントを実施しました。

会場はBeFMが運営する八戸初のコワーキングカフェであるエスタシオンを1日に借り切って行われました。

「街づくり」について考えるイベントは多く見られますが、多くの議論は有識者が集まって議論中心で終わってしまう傾向が多いい気がしています。そこで、みんなで考えた街構想をデジタルの世界に作りながら議論していくアジャイル型でテストプロジェクトを行いました使用したプラットフォームは「マインクラフト」です。

講師として山形県で既にこのプログラムを推進され、マインクラフトの大会に参加し、また、マイクロソフト認定の教育資格を持たれているコンサルタントの齋藤氏に支援を頂きまして実施しました。

結果としては、子供達の発想力、チームワーク、新しいテクノロジーへの適応力、適応後の圧倒的な生産性の高さ、物凄い集中力に驚く結果となりました!※後ほど一部をご紹介致します!

なぜ、街づくりをマインクラフトを活用してイベント形式で行うことを考えたかというと、それには理由があります。

私の出身地でもある青森県八戸市の中心街。もう5年以上も前から中心街に元気が無くなってきています。今年は50年続いた「三春屋」というデパートが閉店し、中心街唯一の映画館の入っている「CINOチーノ」も閉鎖されることが決まりました。また、長年親しんだ福士文具店も閉店し、どんどん中心街の入り口から中心へ向かって寂しい状況がジワリジワリと広がってきています。

私が幼少の頃には中心街に出かけるというのは「何か楽しいことがあるぞ!」とワクワクしたものです。大きなタンタンというおもちゃ屋があったり、母や祖母達に連れられてデパートの上でお子様ランチや八戸の煮干しラーメンを食べたり!街中に観覧車があったり、とにかく中心街は活気に満ち溢れていました。

しかし、現在、中心街の朝9時ごろから19時頃の様子を見ていると若い世代やお子様連れはまばらであり、八戸三社大祭など、大きなイベントが無いと閑散としています。平日、土日関係なく閑散としています。

中心街を歩いていると「貸店舗」「テナント募集」などが目につきますが。。。もう何年もこのままの状態です。

たまに見かける高校生達は中心街にあるタリーズやマチニワでバスを待ちながら勉強している学生程度です。

「一体、子供達、親子連れは、どこに行くのか?」

郊外にはピアドゥやラピアなどフードコートを兼ね備えたモールが出来、駐車場も広く、ユニクロやケーズ電気などなどがあります。そちらを訪れて見て回るとお子様連れのご家族を沢山見ることが出来ます。また、郊外のファミレス系店舗でも中高生達が集まっている様子や、お子様連れの家族を見かけます。ちゃんと、若い世代は居るのです。

「ただ、中心街に若い世代が来たいと思う場所が無いんです!」

そうなんです!中心街に若い世代が来る理由が無いんです。夜営業の飲食店が集まっていることもあり、なかなか若い世代が日中に中心街に足を運べる場所が無いんですね。まぁ、モスバーガーはありますが。。。

「よし!ならば子供達自身に、中心街に何があれば来たいと思える街になるか、考えてもらおう!そして、作っちゃおう!」

そうやって、ゲーミフィケーションそのままに、自分達の住む八戸中心街に目を向けて考えてもらいながら、問題解決思考、そしてデジタル(ゲーム)活用の方法を学んでもらおうと思い、このイベントを企画しました。

この「八戸中心街について考える」にあたっては、ルールを冒頭に示しました。

TNTで爆破されると全てのデータが飛んでしまうので、不安でしたがルールを守ってくれました!!

マインクラフト内に八戸の中心街(十三日町から三日町)にあるハッチ、マチニワ、八戸市美術館、さくら野百貨店、CINOチーノ、そして今回の会場のコワーキングカフェestacionなど幾つかのランドマークをかなりリアルに作成し、実際の区画を地図からおこして作成しました。

参加してくれた子供達は11名で3チームに分かれて、各チーム毎にどんな場所があれば中心街に来たくなるのかを考えてもらい、その中から各チーム3つ選んでもらって街づくりをチームで行いました。

各チーム、小学2年生から中学3年生まで沢山のこんな場所があったら中心街に来たい!というアイディアが沢山出てきました!

参加された子供達が中心街に求めるのは体験型施設が圧倒的に多かった!

もちろん、カフェとか、お洒落な家具屋さん、大きなショッピングモールなども出てきましたが、多くが体験型施設としてキャンプ場、自然あふれる湖の隠れた森、温泉、国際競技の出来るスタジアム、やセキュリティーハウスや避難所(これには驚きました!)、とにかく想定外の施設のアイディアが出てきました!セキュリティハウスや避難所は、なんと内部に畑や魚の養殖水槽が備えてあり、そこでしばらく生活が出来ます!更には、図書館があったり、映画館機能があるなど避難生活の中で快適に長く過ごせる仕組みが整っていました!!

意外にも、各メンバー、沢山の中心街にあったら来たい場所や建物を書いてくれました!でも、作れるのかぁ。。。

「アイディアは出るけれど、作れるのだろうか。。。なんと!そんな心配よそに、建設が超スピード早く進むことに驚いた!」

いよいよ建築開始なのですが、私ともう一人の講師はあえてそのプロジェクトの進め方についてアドバイスはせず、各自に任せました。一応3チームそれぞれに中学生が一人ずつ入る体制にしましたが、建築前の議論を見ていると、なんと!小学2年生の女の子がしっかりと年上のチームメンバーに意見して建築物に必要なモノを議論しているじゃないですか!素晴らしいと思いました!

そして、各チームに文房具として配った紙を見ると、なんと区画割を書いています!!これには驚きました。大人でもなかなかやらないかもw

これは公園のアイディアでの区画ですね。

午前中はPC版でのマインクラフトの操作に慣れてもらいました。初めてマインクラフトをプレイする人もいますし、PC操作に慣れていない子供達も多くしましたので。しかし、あっという間に基本操作、コマンドの利用方法などなど、修得してしましました!

建築が始まると、まるでベンチャーの開発チームのような雰囲気で議論しながらマインクラフトの中で共同作業しています。

「ここでエンチェント使う?どうする?」

お互いに教え合いながら、議論しながら建築が進んで行きます。ここで凄いのはチーム内で3つの建物を分担して建築していくやり方を各チームが行っていたという事です。自然とチーム内で時間制約の中で効率的にクオリティ高く作る方法を取っていることは、まさにアジャイル型開発で進めていましたw

物凄く具体的な議論が各チーム内で行われていました!

「途中から大人チームを急遽構成!3人体制で参戦してもらいまし!」

お子さん達を保護者の方々見ているだけでは暇かなと思い、参加者したい方を募ったところ二人の方が手を上げられました。更に、そのお二人がマインクラフトに苦戦しているのを見ていたお父さんが「苦戦しているようなので私もPC余ってますか?」と言われ3人体制に。ちなみに、この大人チームは閉店するCINOチーノ内に各自が映画を観ながら入れる温泉施設(スーパー銭湯)、お寿司カウンター、サウナなど。。。子供達が建設中の施設との違いを大きく感じることとなりました!

16時から各チームプレゼンしますから準備しながら進めてくださいと時間を決めました。すると急ピッチに各チームの作成がスピーディーに進みます。残り10分で温泉作ったりなど!もう、子供達は完全にマインクラフトに慣れていました!

各チームの発表内容ですが。。。13時からの16時までの3時間でクオリティ高い建物が八戸の中心街に作られていました!正直に私もここでキャンプしたい!!下記に建築物を幾つか掲載してみます!ご覧ください!

十三日町から三日町にかけて公園や国際競技スタジアム、映画館やフードコート、UFOキャッチャーのある大きなショッピングモールが建設されました!

十三日町から三日町にかけて大きな噴水、大きな杉の木や遊具、釣り堀のある公園、災害の時の避難所(図書館付き)が建設されました!

十三日町から三日町にかけて、津波から命を守る塀の高いセキュリティハウス(何かあった時に安全に暮らせるため畑や魚の養殖池付き)、キャンプ場(焚火も出来ます!グランピング出来るテント完備)大きな森とその中に湖もあります。マチニワの隣には露天風呂が!

緊急参戦の大人チームも負けていません!取り壊されるCINOチーノビル内に、大人のこだわりのスーパー銭湯を構想!ゴミを燃やす際の熱を利用するボイラーを完備で環境に配慮したSDGs型スーパー銭湯!お寿司カウンター、自分のスマホ連携のムービーシアター、サウナなどもあります!でも。。。子供達から苦言あったりなどしましたw

ちょっと、大人チームは日頃の仕事の疲れを癒したい思いが強かったのでしょうか?w

こうして、朝10時から17時まで約7時間、集中力が切れるどころから、私達から休憩を強制的に取るようにするためにパソコンから離れて休むように!建築作業は一旦休憩!などと言わないと議論を止めなかったり、休憩時間も議論していたりと、年齢なんて関係なくチームとして自然に問題解決思考で「八戸中心街にどいうものがあったら来たいと思うか」を、大人顔負けで考えていました。

また、親御さんからは、

「大人が中心街に区画を確保したら、そこにどの様な施設や目的の場所を作れば良いのか、今回参加されている子供達へ企画してもらった方が、早いかもしれない!」

そんな発言も出ていました。同じ作業時間でいくつもの目的を持った施設を建設するスピードに大人チームの皆さんは驚かれていました!

16時からの各チームプレゼンを聞きながら感じたのは「建築したすべての建物にしっかりとした利用者視点、解決される課題、細かな仕掛けひとつひとつに意味がしっかりとある」ということです!

かなり高度なことですが、彼らは自然と無意識に考えるプロセスが出来ているなと感じました! 大人でも忘れがちな視点ですね!

各チームメンバーひとりひとりからのコメントとして、

「最初は初めての人たちだったけど直ぐに一緒に作業出来る関係になったのが嬉しかった!」

「初めてのマイクラだったが、リーダーとしてやり遂げられて達成感を得ることが出来た!」

「出来ないことが沢山あったけれど、自分の出来ることで一緒に作れたのは嬉しかった!」

など、何かしら学びを得てくれたようで良かったなとホッとしました!

あと、ある親御さんからは、

「子供達がこんなにも中心街にいろいろ建築してくれた施設を見て、リアルな世界の中心街には何もないなと感じた」

という言葉が印象的でした。

確かにイベント後に、実際に中心街を歩いて実家に帰りましたが、もし、子供達がマイクラの中に作った様々な施設があったら、とても中心街が活気づくのにと強く感じました。

早速、参加してくれた子供達からは次回開催を求める手が挙がっていました!嬉しいですね! 次回開催は是非、必ず実現したいと思います!